財産分与
目次
財産分与とは
財産分与とは、夫婦が結婚生活の中で築いた財産を、離婚に際して分け与えることをいいます。
夫婦の財産にはいろいろなものがあります。
預貯金やローンで買った家やマンション、車や家具、宝石類や保険だってそうです。
これらのものは、基本的にはどっちのものとか決めていない夫婦共有のことが多いはずです。
熟年離婚においては、様々な財産が築かれている場合が多いかと思います。
そういった財産を、離婚に際して夫婦で分け合うのが財産分与です。
財産分与の対象になる財産は離婚当時、夫婦の一方名義で持っているすべてのものがなります。
しかし、結婚前から存在していた貯金や結婚前から所有していた家具、親から相続した財産などは、特有財産といってその対象にはなりません。
とはいえ、もちろん財産分与してもかまいません。
あと、プラスの財産ばかりとは限りません。
婚姻期間中に2人で建てた家の住宅ローンなどは、マイナスの財産分与といって、その債務を2人で分けて負担する必要も出てきます。
なお、財産分与に慰謝料が含まれているかどうかは、はっきりさせておくべきです。
退職金は財産分与の対象になるか?
熟年離婚においての財産分与で、大きなポイントとなるのが退職金です。
さて、退職金は財産分与の対象となるのでしょうか?
すでに、支給されている退職金は、もちろん財産分与の対象になります。
また、数年後に定年退職を控えている場合の退職金も財産分与の対象になることがあります。
様々な事情がからんできますが、退職まで2,3年以内という場合は、順当にいけば当然に支給されるとして、財産分与として退職金が認められることが多いです。
その場合、退職金のすべてが財産分与の対象になるわけではありません。
結婚前から働いていた期間に応当する部分など、婚姻していた期間以外の部分に対しては、財産分与の対象にはなりません。
とはいえ、当事者同士で「将来もし退職金が支給される場合は、租税公課・社会保険料を差し引いた額の半分を分与する」なんて取り決めもできますので、ぜひご依頼ください。
扶養的財産分与
扶養的財産分与(離婚後扶養)とは、例えば夫婦で築いた財産がほとんどない専業主婦をしていた妻が離婚した場合、十分な収入が得られる就職先を探すのは困難であり、またパート等で就職したとしても、社会的に立場の弱い女性が一人で生活をしていくのは難しいので、その生活を保障するという意味でする財産分与です。
その金額や期間(一般的には3年以内)は様々なおかれている状況を考慮して決められます。
基本的に、財産分与してもらえる財産がないような場合に認められます。
熟年離婚で多そうな、ローンが済んだ不動産の財産分与例
熟年離婚においては、婚姻期間中に買ったマンション等の住宅ローンを払い終わって純粋な財産として所有している場合も多いと思います。
ローンが終わった家やマンションがからむ財産分与例を簡単に書いてみます。
家の離婚時の価値は分かりやすいように1000万円としておきます。

Ⅰ.夫の単独名義で、そのまま妻が住み続ける場合。
財産分与は原則の2分の1ずつで考えます。名義は夫ですが、2人で築いた財産で建てたとみなします。
ということで、それぞれの持分価値は500万円ずつとします。
妻は、夫に500万円支払って、家の名義を妻に変更します。
夫が住み続ける場合は、妻に500万円支払います。
Ⅱ.夫の単独名義ですが、買った値段は2000万円でそのうち400万円は夫が頭金として出していた場合。その家を財産分与としてもらって妻が住み続ける場合。
まず、潜在的な持分を出します。2000万円から400万円引いて残りは1600万円。
これを、2分の1にします。すると800万円です。頭金の400万円と800万円を足した1200万円が夫の持分ということになります。妻は800万円です。
夫:妻は1200:800で3:2になります。
この潜在的な持分を、離婚時の家の価値1000万円に当てはめます。
すると、夫の持分価値は600万円になります。
よって、妻は夫に600万円を支払って、この家の名義を自分に変更して住み続けることができます。
ローンがからむ財産分与
Ⅰ.ローン付き不動産の財産分与は、例えばマンションが夫名義で、それを財産分与として名義を妻に変えることは比較的簡単にできます。とりあえず、銀行の承諾がなくても変更自体はできます。でも、期限の利益を喪失して、一気に残額を請求される場合もありますので、銀行の承諾を得てください。
名義は変更できる可能性がありますが、そのローンを支払うのが夫だとした場合(下の★の②の例のようなケース)、銀行はローン債務者を夫から妻へ変更することをなかなか認めてくれません。
このような場合、「妻はローンを必ず支払い、夫に迷惑をかけない。このような事態が発生した場合は…」と書面を作成しておけばローンの滞納を防ぐ効果が多少はあります。
とはいえ、、それでも滞納した場合は、銀行の信用情報でブラックリストにのる可能性はかわりません。
家は慰謝料・財産分与で妻がもらって、ローンは夫が支払い続ける場合なども、夫がローンを滞納したら、妻は家を差し押さえされる可能性があります。。
では、財産分与として住宅を分ける場合の、具体的な方法を2つのケースで説明します。
☆ローンが残っていない住宅を分ける場合☆
①売却して、そのお金を分ける。
②どちらかが住宅を単独所有し、相手の持分についてはお金を払う。
③持分を決めて共有とし、不動産分割請求をする。
現実的には①か②の方法になるでしょう。
★ローンが残っている住宅を分ける場合★
①売却して利益が残ったらそれを分け、ローンが残れば二人でで払う。
②どちらかの単独所有にして、所有者が残りのローンを引き受け、価値を精算する。
・例 夫が頭金として1000万(5分の1)出して5000万(5分の5)のマンションを買ったとします。
残りの4000万を夫がローンを組みました。
この4000万(5分の4)が夫婦共有部分となります。
よってこのマンションの持分は、夫が頭金(5分の1)を出したことを考慮して5分の3になり、妻が5分の2になります。
そして、離婚時のマンションの価値が3000万に下がっていたとします。
その時のローン残高は2000万とします。
その時の夫の持分額は、3000万の5分の3で1800万になり、同様にして妻の持分額は
1200万になります。
残ローンの負担は、夫と妻ともに2000万の2分の1で1000万となります。
この不動産を妻が取得して、残ローンを支払っていくとすると、妻は夫からその持分
(1800万)を買い取り、夫がローンの自分の負担部分(1000万)を妻に支払うことになります。
よって、このマンションに関しては、妻が夫に800万円支払い、単独所有して残りのローンを引き受けることになります。
Ⅱ.財産分与として車をもらう場合、ローンが残っていなければ名義を変更するだけでよいのですが、ローンが残っていたら、その名義は通常ローン会社になっていますので、夫婦の合意だけでは譲り渡すことができません。
このような場合は、夫婦・ローン会社の間で債務者の変更等の手続が必要になります。
財産分与と税金
・不動産を財産分与した場合、もらった方が不動産取得税を取られる可能性があります。
ただし、一般的である婚姻後に取得した不動産を財産分与したものであれば、2分の1に軽減されます(2分の1を越える部分に関して課税される)。
持分はどちらか一方が全部持っていたとしても、「結婚後一緒に手に入れたんだから、半分ずつということにしましょう」という理論と思えば分かりやすいです。
ですので、婚姻前に取得した不動産の場合は、そういった2分の1になる軽減措置はありません。
税率はというと、自分が住む住居用としての家屋の場合は、その課税元の評価額の3%(昭和57年1月1日以降新築した50~240㎡のもので、そこに住む場合は軽減措置があります)
自宅以外の例えば事務所とかの家屋であれば、3.5%。
土地に関しては、評価額を2分の1にして、その額の3%になります。
要するに土地のほうが安いということですね。
まだ他にも軽減措置はありますが、細かいことは都道府県庁または地方振興局にお尋ねください。
・財産分与として不動産を与えた場合、与えた側には不動産譲渡所得税を取られる可能性があります。
譲渡所得とは、おおざっぱにいうと、例えば3000万円でマンションを買ったとする。これを譲渡するときの価値が4000万円になっていたとする。
この差額1000万円が譲渡所得になります。
よって、譲渡するときの時価が、購入価格より低ければ、譲渡所得は当然ありませんので、譲渡所得税は取られません。
もし、財産分与で不動産を与える場合でも、特例があり譲渡所得税を取られない場合もあります。
これは、居住用として不動産を与えた場合で、譲渡所得が3000万円以下の場合は譲渡所得税は取られません。
しかし、これは「親族以外の者への譲渡」でないといけないので、離婚成立後に財産分与しなければ譲渡所得税は取られてしまいます。
なお、現金・預金で財産分与をした場合は、譲渡所得税は取られません。
・財産分与は、その夫婦が婚姻して協力して築いた財産の額や社会的地位などからして、夫婦共有財産の清算として相当な額であれば、不動産・預金等ともに贈与税はかかりません。
財産分与その他
・財産分与は、離婚後2年で時効にかかり、請求できなくなります。 ですので、財産分与をしてもらっていない場合は、速やかに財産分与を請求しましょう。
・財産分与の時に役に立つ資料…給料明細など収入がわかるもの、通帳、婚姻中に購入した不動産の登記簿謄本や権利証、婚姻中に購入した高価なものの領収証などは役に立ちます。
また、家計簿をつけていれば、養育費や生活費が実際にいくらかかっていたかの証明になります。
さらに、お金の借用書や保証契約書などのマイナスの財産も把握しておく必要があります。
・別居期間があった場合、その時の生活費を全く送ってもらえなかったとしたら、その分はあなたが立て替えたことになりますので、財産分与の中でそれを請求することができます。
・財産分与として、今住んでいる自宅をもらえないなら、賃貸借契約、または使用貸借契約を結んで居住するという方法も取ることができます。
賃貸借契約であれば、毎月一定の家賃を支払う必要がありますが、使用貸借契約では、ただで居住することができます。
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